突然ですがクイズです。(今日は2問)
第一問 水やりの方法ですが、どちらが危険な水やりでしょう?
①左の様にこまめに少量の水をやる
②右の様にたっぷり鉢底から水が出るまでやる
ヒント 根は呼吸しています。(水に含まれる酸素を利用しています)
こたえ 危険な水やりは①です。
こまめに少ししか水をやらないと、下の土の酸素がなくなり、下の根は酸欠になり根腐れを起こしてしまいます。
これ、めっちゃ多いです!水やりで枯らす人。だから危険な水やり。
水やりは空気の入れ替えだと思うといいと思います。(もちろん例外もあります。湿度を保つために、こまめに少量の水をやる必要がある植物もあります。)
以下解説。ちょっと長めですが、絵も描いたんで、見てやってください。
「水のやりすぎで枯れたんだ。」とよく言われますが、単に水のやりすぎだけで、木がかれるのでしょうか?
台風で大量の雨が降っても、大水になっても、木は枯れませんよね?
こういう事例がありました。
以前、庭を作るためにとっても良い土を入れたお家がありました。
そのあと、お家を建て替えるための工事で、庭の土は踏み固められてしまい、
そのカチカチの土に庭木を植えたのです。(あとで、土の固さを調べたら、石と同じくらいの場所もたくさんありました。)
おうちの人は、木が元気ないので、どうしたんだろう?とたくさん水をやります。
でも庭中の木がどんどん枯れていきます。
これも下に水が抜けず、水がたまってしまい、根が酸欠になってしまった事例です。いくら良い土を入れても、踏み固められてしまったらだめなのです。また石みたいに固ければ根も伸ばすことができません。
というように、同じ水がずっとたまっている状態は根腐れをおこしてしまいます。
これも同じことです。受け皿に何日も同じ水がたまっているのも、酸欠を起こしやすく、下の根は根腐れします。酸素を求めて根は上の方しか伸びなくなります。
池なんて、日当たりがよくて、水もあるんだから、木が生えたっていいと思いませんか?
水で種が流されちゃうっていうのもありますが、実際は池にあんまり生えないですよね。(ラクウショウなど呼吸根をもっているものは可能。ハスのレンコンも根に空気を送っている)たまっている水で生きるには、根に酸素を送る機能がないとできないのです。
根元に分厚く土を盛るのも、酸欠になります。ただし、木によって根端の酸素要求量が少ない木は平気な顔してます。マツは数10cmの盛土で枯れることもあります。ケヤキは比較的耐えます。
じゃあなんで「水のやりすぎは良くない」と言われるのかと考えると、
いつもたっぷり水やりをしていると、「根はこんぐらいでいいやー」とあまり根を作らなくなります。木だって無駄な投資はしたくないから、水はあるんだから、無駄な根は作らないですよね。
ということで
第2問 ある植林地での実際の話です。夏、長い期間雨がふらず、植林した木が枯れてしまいました。どちらにあった木が枯れたのでしょう?樹種は一緒です。
①山の尾根の、いつも乾いている所
②山の下の方の、いつもしめっている場所
ヒント なしで。
こたえ
②のいつもしめっている所の木が枯れました。
これ、大学の演習林での話だったと思うのですが、いつも乾いている場所はそれなりに根を張っていないと生きていけません。木は菌類と共生して暮らせる(菌根菌)ので、日ごろから菌類の協力者とうまくやり取りをして、広く根(菌根)を作っていたのだと思います。たくさん根を広げていれば、わずかな水を集められるでしょう。
一方いつもしめっている場所は、根をさほど伸ばさなくても、十分生きていけたんですね。木もたくさんあり、風あたりも強くないので、根を広くはる必要性がありません。
その違いが、いざというときの生死を分けたようです。
植物って、水や土、空気など、すべてを理想の環境にすると逆に弱くなっちゃうようで、多少のストレスが必要のようです。(「子どもも、そうよね」と身につまされます。お兄ちゃんが小さいとき、いつまでたっても自分で靴をはかないので、相談したら私が靴を履かせているからでした。ガーン)
ストレスが高いと、また問題なので、加減が難しいところです。
ということで、「水のやりすぎ」って、量の問題でなく、頻度の問題なんだと、私は解釈しました。
水やりまとめ
●根はとにかく1回でも乾燥したら、その根は使えなくなってしまう。
●根は呼吸している。空気の入れ替えのようにたっぷり水をやる。少量だと危険な水やりになる。受け皿に水を何日もためておくのもよくない(根が乾かないために仕方ないこともあるが)。
●水やり頻度が多いと、それに適応した根しかはらない。いきなり水やり頻度を少なくすると適応できない。少しずつ頻度を減らすなど、根を伸ばすためのストレスも大事。