街の木コレクション

樹木医が街で出会った木を紹介。木で遊び食べ楽しむブログ

樹木医的?クイズ 年輪で方角は迷信

今日は年輪クイズだよー

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第一問 木が何才か調べるとき、年輪を数えますが、年輪はどう作られるのでしょう?

①外側から内側へ(外側が古く、中が新しい)

②中から外側へ(中が古く、外側が新しい)

どっちかな?

 

これは「年輪ってどっちから増えるんですか?」って大人から聞かれたので、子ども向けだけのクイズじゃないよ。わかんない人は以前のクイズ「この木は何才?」をみてみてね。簡単すぎる問題だと裏をかく人がいるんだけど、素直に解いて大丈夫ですよ。

 

 

こたえ ②中から外へ作られます。

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真ん中が1才で、バウムクーヘンを作る時みたいに、1年1年重ねて太くなっていきます。

 

次の問題ですが、少し予備知識を

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この木は1本から枝分かれしていますが、以前は根元はくっついていませんでした。

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こんな感じで、根元から数本出ていた木だったのです。

それが、木が太くなり、くっついてしまいました。

 

そこで、第二問 この切り株は、何本がくっついて1本になっているでしょう?

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ヒント 年輪の中心を探そう

 

こたえ 4本

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4本それぞれの年輪の中心が4つ見られます。1本に見えた木も4本がくっついたものだったんですねー

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木はお互い風でゆれてこすれあって、形成層がくっつき、まるで接ぎ木をしたようにくっつくことがあります。同じ木じゃなくても、接ぎ木が可能な樹種同士ならくっつきます。

「大木だ!」と思った木も、こういうのあります。案外若いかもしれないですよ。

 

次の問題の予備知識

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木は傾いたときの支え方が、針葉樹と広葉樹とでは違っています。

 

マツやスギなどの針葉樹は、傾き側を太らせて押し上げるように体を支えます。一方サクラやケヤキなどの広葉樹は、傾いた反対側を太らせて引っ張るように支えます。支えようとする材は年輪幅が広くなります。

支える材をあて材と言います。木材としては使いずらいので、林業では嫌われますが、木が身体を支えるための重要な機能です。ただ、環境によって教科書通りでないこともあります。例えば広葉樹の傾きの反対側が狭く、根など伸ばせない場合は違うところにあて材を作ります。

 

では第三問 この年輪はマツ(針葉樹)ですが、最初はまっすぐ立っていたようです。年輪の①、②、③どこで傾いたのでしょう?

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ヒント 裏はかかないで、教科書通りの問題です。

 

 

 

こたえ ①で傾いた。

 

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年輪の中心から6年は均等に年輪が並んでいます。たぶん若い時は、まっすぐ伸びていたんだと思われます。ところが①から急に年輪が広くなっています。傾いた木をなんとかしようと②ではあて材を作っています。③年輪幅がまた狭くなっています。これは実際の木を見ていたのですが、支柱がされていて、傾きを支える必要がなくなったのだと思います。↓が実際の木です。

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しかしその後切られて、上記の年輪を観察することができました。

木にも過去いろいろあったんだなーと年輪を見ながら想像するのも楽しいですよ。

 

ちなみに「年輪幅が広い方が南」っていうのは迷信です。テレビとかで未だに言われていますが、年輪が広いのはあて材です。

針葉樹が植えてある植林地で、南斜面で切り株で休憩すると、南の年輪幅が広いですが、方角とは関係ありません。針葉樹は傾斜側を太らせて支えます。南斜面では南側に木は傾きます。針葉樹なので傾き側の年輪幅が広いのです。北斜面で傾斜した針葉樹は北側の年輪幅が広いはずです。くれぐれも年輪の方角を信じて山道を歩かないでくださいね。